Falling Man
昨夜、ヒストリーチャンネルの9.11特集番組のひとつを見た。普通のドキュメンタリーは、何が起こったかを既に知っている地点から過去の出来事を振り返るものである。今回の番組は、一般の市民が撮影したビデオやニューヨーク市警や救急隊員の無線でのやり取りなどを基に、その場に遭遇した人たちの視点で、何が起こっているのかをリアルタイムで追うように描いたものだと最初に説明があった。
たしかに、何が起こったのかわからないことの不安が前面に押し出され、その場にいるかのように心臓がどきどきして息苦しくなった。自宅の窓から一部始終をビデオカメラで撮っていた人が、2機めが突入した途端、もうここにはいられない、と叫んで部屋を飛び出した。それはマンションの32階だった。
未公開映像がほとんどで、「衝撃的な映像が含まれていることを了承されたし」というメッセージが番組の途中でも繰り返し表示された。何度目かのそのメッセージを見たあたりで胃が重くなってきた。ビルが崩壊したところで、もう限界だと思い見るのをやめて、ベッドに横になった。悶々と寝返りをうって数時間が過ぎた。結局、胃の中のものを全部吐き出して、朝方、やっと眠ることができた。
それほど「衝撃的な映像」は見ずに終わったけど(落ちてゆく人を見ても、衝撃的だと思わなくなっている自分の感覚が怖ろしい)、覚悟しなければと思うあまり、思いつく限り衝撃的な映像を頭の中でリピートしていた。まるで予告編のように。脳が映像メディアに侵されている。


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