« 2016年3月 | トップページ | 2016年8月 »

2016年6月

2016/06/19

めぐりあった絵本

先月、絵本と洋書を楽しむ会に顔を出してみた。3月に初めて参加したブッククラブの主催者である洋書屋さんが、新たに立ち上げられたもので、今回が初めて。総勢4名(5名の予定が1名欠席)のこじんまりした会だったが、楽しいひとときだった。それぞれがお気に入りの絵本を紹介して、おしゃべりをするという肩の凝らない雰囲気。紹介された本はどれも魅力的だった。いちばん興味をもったのは(←英語学習という観点で)エドワード・ゴーリーという異色の作家である。

絵本というと日本人がイメージする"kawaii"とは趣がかなり違う。たとえば、名前のアルファベット順に子どもが登場しては死んでゆく作品「ギャシュリークラムのちびっ子たち」や妙に気になる謎の動物がやってくる「うろんな客」。内容も絵もちょっと不気味だったり、ひねりが効いていたりで、後々まで強い印象が残る。

洋書の絵本と翻訳ものの両方を見せていただいたのだけど、あの柴田元幸先生が翻訳されたものがたくさん出版されているのも心ひかれた理由である。英語のリズムや押韻をどんなふうに生かして日本語で表現するか、いろんな工夫が詰まっているにちがいない。英語と日本語が併記されているので2倍楽しめる。こちらのサイトはゴーリ―について柴田先生のインタビューがたっぷり載っていておすすめ。

さて、わたしが紹介したのはなつかしいこちらの絵本。積極的に絵本を読んできたわけではないので、これくらいしか紹介できるものがなかったというのが本当のところ。でも、これは今でも自信をもっておすすめできる。二人の文通という構成、封筒の中から手紙を取り出して読むという仕掛けなど、みなさんおもしろがってくださった。ストーリーもミステリアスで余韻を残して終わっている。すぐに購入した方がひとりおられたようで、うれしい。

わたしも久しぶりに再読して、絵葉書のすみずみまで眺め尽くしたり(切手のデザインにも注目)、どきどきしながら便箋を広げる感覚を思い出した。手紙などめったに書かなくなった今だからこそ新鮮。続編は持っているけど、完結編は持ってないので買わなくてはね。

| | コメント (0)
|

2016/06/12

あんたが先か

ある歌の歌詞に出てきた"for me and you"というフレーズに違和感があると感じた学生が、ネットで調べたところイギリスではこの順序が多いらしいと発言してくれた。他の学生も、言われてみれば"for you and me"のほうが馴染みがあるというのが大方の意見。ただ、その歌の場合は韻を踏むために、あえて"for me and you"という順序にしたとも考えられる。

わたしも調べてみたところ、自分は後回しという感覚は英語圏でも共有されているようだ。自分を先に言うのは"me first"という印象になってしまう。英語のスタイルブック"The Elements of Style"にも記載があるらしいので、自分に関する人称代名詞は後ろに置くという控え目な姿勢が基本と思っていたほうがよさそう。参考サイトはこちら

そういえば・・と思い出して "Google books Ngram Viewer"のサイトにアクセスした。名前が思い出せなかったので、「単語・出現・頻度」などのキーワードで探して、こちらのサイトからたどり着いた。自分用に記事にしておけば今後は安心というわけでこれを書いている。ブックマークが増えすぎて探せる状態ではなくなってきているので。。
ココで検索してみると、圧倒的に"you and me"のほうがよく使われている。

Youme__2

ただ、歌のタイトルに"me and you"が含まれているものもかなりある。あるイギリス人に聞いてみたら、前後の音によって発音しやすいほうを選ぶという音声学的な要因もあるようだ。彼はシンガーでもあるので、実体験からの考察でもあるだろう。おもしろいなー。

Me and Bobby McGee, Me & Mr.Johnson, Me & Mrs Jonesのようなタイトルもあるよね~、と友だちからいろいろコメントをもらった。こんなふうに後に名前がくるパターンは、ゴロがいい順番になっているという面もあるかもしれない。Meを後にすると、なんとなく落ち着かないでしょ?英語はリズム(ストレスの強弱の並び)を気にするからね~。たとえば Simon & Garfunkelだと「強弱弱 強弱弱」で、きれいな3拍子になってるけど、Garfunkel & Simon にすると「強弱弱弱 強弱」となって座りが悪いんですよね。

この話になるときまって思い出すのが「リサとガスパール」。原題の順序は逆で「Gaspard et Lisa」なんだけど。日本語は五七調とか三三七拍子とか、奇数が好きなのかな。

| | コメント (6)
|

2016/06/11

トランプ風ワードサラダ

うわっ、また1カ月が過ぎた。と思うこと2回。いや、3回か。。時は流れ、すでに梅雨に突入している。
昨年来、ずーっと書こうと思っていた米大統領候補トランプ氏の件。あれよあれよという間にとうとう共和党の指名獲得にまで至ってしまった。日本では、過激な発言だけがクローズアップされてニュースで流れてたし、具体的な政策についてのコメントを聞いたり見たりする機会はあまりなかった(というより、そんなことは何も言ってなかったのだろう)。

それが今年のある時期から、たて続けに大手新聞や放送局のロングインタビューがあり、そのスクリプトがネット上でも公開された。ちょっと目を通してみなくては、と読み始めたが、なんだかもう「はぁ?」と思い切り語尾上げの調子で聞き返したくなるような内容。
とにかく会話が噛み合っていない。インタビュアーはよく冷静でいられたなあと感心する。質問には全然答えず、同じことをくどくど繰り返し、勝手に好きなことを言い散らすだけ。堂々巡りの感があり、頭がくらくらしてくる。

ネイティブの読者も、頭が痛くなって最後まで読めなかったとか、何を言っているのか意味不明とか、最後まで読んだけど○時間以上かかったとか、驚きと動揺を隠せない様子が伺えるコメントがネット上にあふれていた。

そんなトランプ氏の発言内容について "word salad"という表現があった。サラダというと、なんとなくヘルシーで爽やかなイメージなのに、わけのわからんぐだぐだ話をサラダと呼ぶなんて、サラダがかわいそう~と密かに同情していた。

こちらのサイトによると、
 ワードサラダ(word salad)とは、「文法は間違ってはいないが、文章としての意味が破綻している」自動で生成されたテキストコンテンツを指します。

ということで、わたしは初めて出会った言葉だけれど、IT業界ではすでに日本語の中に取り込まれているようだ。特に、コンピュータ(自動翻訳)によって作り出される、文法的には正しいけれど、まったく意味をなさない文を意味するらしい。

こちらのサイトに英文の具体例が挙がっているが、こんな文章と一緒にされるということは、トランプ氏の話す内容がどういう類のもので、聴衆や読者をいかに困惑させるか想像できると思う。それともこれがかれの戦略か!?

参考記事:Trump's word salads conceal his ignorance

| | コメント (0)
|

« 2016年3月 | トップページ | 2016年8月 »