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2014/06/08

StingのTED Talk 鑑賞

久しぶりにTEDで勉強しようとアクセスしたら、なんとスティングの動画があった。 "How I started writing songs again"というタイトル。なんの気なしに見始めて惹きこまれ、その後、英語字幕を確認しながらもう一度見てしまった。



スティングが育った町には造船所があり、通りの先を巨大な船が塞いでいたという。バックに映された古びた写真は、たしかに「シュールリアルな光景」で、特に子どもの目から見ると、とてつもなく高くそびえる壁のように見えたんじゃないかと思う。
Shipyard_r

町の男たちのほとんどがそこで働いていた。スティングの祖父も。だから、自分もそうなる運命かと不安を抱いていたが、かれは絶対にここから脱出すると決めていた。
人生を共にするギターとの出会いは8歳のとき。錆びた弦が5本だけのおんぼろギターだったけど、それがかれを成功へと導いた。
でも、あるとき曲が書けなくなった("writer's block"って呼ぶと知った)。白紙のページに向き合う日々が数週間、数か月と延び、数年に及んだ。

曲作りはファウストの取引(Faustian pact)のようだというくだりがある。ゲーテの作品で有名なファウストは悪魔と取引をする。悪魔に魂を売るアメリカのブルースマンと同じだ。

スティングは以前のように自分のことを歌うのをやめた。そして、自分以外の、声を持たない人々の代わりに歌い始めた。かれらの立場に立ち、かれらの視点で世の中をみつめようとした。
自分のことを歌うのを止めて、じゃ、何を歌うのか。自分の知っていることなら歌える。。あれほど逃げ出したいと願った町、置き去りにした町に戻ることになるとは皮肉な話だ、とスティングは言う。
でも、そうした途端、音楽が、言葉があふれるように湧いてきた。それはまるで "a kind of projectile vomiting"つまり「噴き出す嘔吐物」のようだという表現にはオーディエンスも苦笑していた。

わしの名前は Jackie White...
突然、訛りのきつい造船工が語り始める。地球上で最大の船を造り上げたんだ、と誇らしげに。Jackie Whiteになりきったスティング、最後は朗々と歌い上げ、ミュージカルみたいやん。と思ったら、ホントにスティングのミュージカル"The Last Ship"がまもなくアメリカで初演を迎えるらしい。全然知らなかったけど、CDは昨年リリースされている。

グレーのTシャツ1枚でこんなにクールに見える人ってそういない。飾り気がなく、言葉に誠実さがにじみ出ている。壁にぶち当たり、訣別したはずの過去と再び対峙したスティングは、かれにしか語り得ない言葉を綴り、かれにしか紡ぎだせない音楽を奏でる。

TED Talkの最後は「知っていたら一緒に!」と "Message in a Bottle"を歌い出した。 "I hope that someone gets my/ Message in a bottle" かつて、壜に封じ込めたメッセージを、だれか拾い上げてほしいと歌ったスティング。
かれが故郷の町で拾い集めた声は、今、大西洋を超えて、確実に世界へ届けられるところだ。

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