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2010/06/20

Barack Obamaがみた父の夢

1週間ほど前、父の夢をみた。父の日が近いからというわけではない。きっと、Barack Obamaの自伝(Dreams from My Father)のせい。Barackが実父の夢をみた箇所がとても印象的だったから。この自伝は3部に分かれていて、第1部Originsの最終章で、Barackは独房にいる父に会いにゆく夢をみる。
Barackには父の記憶がほとんどない。母と母の両親から聞かされる思い出話から作り上げたイメージだけの存在だった。白人である母と祖父母は、Barackにとって別世界の住人でもある。かれらはもちろんBarackを愛してくれたが、当時の人種に対する偏見を完全に消し去ることは難しく、Barackはふとした瞬間に違和感を覚える。黒人と白人のどちらの世界にも属することができない、とBarackは悩み続ける。黒人の家庭つまり家族で痛みを共有できる環境に、Barackは憧れさえ抱いていた。

自分は“a black American”である、と自覚したとしても、それはどこか特定の場所に結びつく意識ではない。やがてBarackは、自分がコミットできる、実体のあるコミュニティが必要だと感じるようになる。大学生のBarackはNYに出て自分の進むべき道を模索する。4年間音信不通だった父にやっとのことで手紙を書き、卒業後再会しようと考えていたが、突然、父が亡くなったという知らせが入る。
Barackが父の夢をみたのは、それから1年ほど経ってからのことである。独房にいる父に駆け寄り抱き合う。涙をとめることはできなかった。父のために流す初めての涙。ずっと不在の父を許せないと思っていたBarackだが、このとき父の存在の大きさを知る。わたしも父に対しては複雑な想いを抱いているので胸が詰まる。とても感動的な最終章であり、第1章ともうまくつながるように構成されている。この作品は構成もホントにおもしろくて、うまいなあ~と何度も感心させられる。実際のBarackの声が聞こえてくるような気もするし、ますますBarackに惹きつけられる。

わたしの夢はもちろんそんな感動的なものではなく、最後に父を囲んでみんなで外食したときのように足元のおぼつかない父の腕をつかみ、どこかに出かけていた。そしてあいかわらず昼間からビールを飲む父に文句を言っていた。一時期みていた悲惨な状態の父の夢よりはマシになった。少しずつわたしの記憶が作り変えられているのかもしれない。

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コメント

18年前、親父が亡くなったあと、
四十九日法要の前日に親父が夢に出てきました。
いつものように日の当たる畳の上にあぐらをかいて座り、
ただニコニコと、
これまたいつものように照れくさそうに微笑んでいました。
ワタシは慌てて、何を思ったのか
「母さーん!! 早くお茶お茶!!」と叫んでいました。

亡くなる前後の治療の判断に少し後悔やら何やらあったのですが
「きっとこれで良かったんだ」と思わせてくれる夢でした。
明日は親父の命日です。

投稿: 風屋 | 2010/06/21 12:11

♪風屋さん
たいせつな夢の話を聞かせてくださってありがとうございます。いい夢ですね。お茶を出さなきゃ!とあわてる風屋さんが微笑ましいです。
明日がお父様の命日なのですね。その3日後がうちの母の命日です。今思うと、鬱陶しい梅雨の最中だったのですね。最後に病室に持って行ったのは紫色のトルコ桔梗でした。

投稿: miredo | 2010/06/21 19:28

戦後のしばらく、敗戦の影響かどうも男が腑抜けてしまった時期が有るようですね。
実は、僕には余り父の思い出が無いのです。
だから、例の納棺師の映画を見ていても、最後の方がどうもシックリと来ませんでした。菊池寛の<父、帰る>もどうも苦手な話です。
オギテツ

投稿: ogitetsu | 2010/06/21 22:20

♪ogitetsuさん
「腑抜け」たかどうかはよくわかりませんが、何歳で終戦を迎えたかで影響はかなり違うのでしょうね。
納棺師の映画は録画したまま見てないんです。なんとなく心の準備ができないというか、見よう!というタイミングがあるんですよねー。菊池寛の「父、帰る」って、考えてみたらブルーズが書けそうな話ですね!

投稿: miredo | 2010/06/22 20:45

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