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2008/03/29

点をつなぐ

今週の自動車文庫では、もう何も借りないつもりだったけど、ふと大江健三郎の「読む人間(読書講義)」が目にとまり、手にとってみると表紙の大江氏が「今、あなたはこれを読むべきときなのですよ」とわたしを見つめていたので、そのまま貸出しのおねえさんのところに持って行った。

大江氏が実践してこられた読書の方法が紹介されているのだけど、これが本を読むということなのか。。。と感銘を受けた。たとえば翻訳書がある場合、まずそれを読んで、いいと思うところ、よくわからないところに線を引いておく(色分けして)。次に原書を手に入れて、自分が翻訳本で線を引いた箇所を丁寧に読んでゆく。
わからない部分は、ひとつひとつの言葉について辞書を引き、意味がわかったと納得しても、さらにそれ以外の語の意味についても辞書を読んで、言葉の奥行きを知る。
その上で、必要だと思えば、原書を最初から読み通す。

言葉を、文章のスタイルを、深く味わいながら読んでおられるようすがよくわかる。言葉にこめられた作者、翻訳者の心に思いを馳せ、感動する大江氏の心のふるえが伝わってくる。大江氏がしたように、おすすめの本を丁寧に読んでみよう。そう思って、さっそく大江氏一押しのサイードとバレンボイムの対話による本をオーダーした。

大江氏は、役に立たないと思った読書体験が思わぬところで新しい何かにつながってゆくこと、歳月を経て光を帯びることがあることを具体的に紹介している。それはちょうど、スタンフォード大学の卒業式でスティーブ・ジョブズが語った「点をつなぐ」ことに等しい。(最近、大学を卒業するにあたり、かれのスピーチをあらためて聴いた。)点がつながるとわかるのは、後になってからなのだけれど、今、自分がやっているバラバラに見えることが、いつか1つにつながってゆくのだと信じることが大切だと言う。

わたしの中で一見バラバラに存在している興味や関心も、わたしという一人の人間を介することで、当然につながっているものなのだと感じる。4月からはまた、今までとちょっと道がそれるけれど、いつかどこか遠い点でつながる日がくるかもしれないし、こないかもしれない。

さて、久しぶりにピアノの蓋をあけようかな。そういえば五線譜の上の音符も点なんだよね。そして、これがつながるとひとつのフレーズになるんやね!

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