« なくして冷や汗 パスワード | トップページ | 穴埋め問題の穴の割合 »

2006/07/25

The forgotten war

ライス国務長官はアジア訪問予定を変更して急遽、中東を訪問している。メディアの目は一斉にイスラエル、レバノンへと向かう。
そんな中、CNN.comに"Iraq: The forgotten war"という記事。
5月、6月だけで5,818 Iraqi civiliansが命を落とした。国連によると、今年になってから14,000人以上が亡くなり、1日あたりの平均死者数は100人だという。
一度は世界中が注目したイラクだが、今や忘れられつつある現実を指摘している。

そして検索中に偶然であった次の文章。厳しい問いを突き付けられた。

世界が注視するなか巨大なビルが灰燼に没し、数千の命が失われたとき、あるメディアはこの事件を、人間の歴史に長く記憶される悲劇と形容した。米国の歴史ではない。人間の歴史だという。そのとき私は、19年前の9月を思い出していた。

82年、レバノン、イスラエルの侵攻にともない、9月16日から18日にかけて、ベイルートの二つのパレスチナ難民キャンプ、サブラーとシャティーラでイスラエル軍に支援されたレバノン右派勢力に、2千人を超える難民たちが虐殺された。さらにその6年前の76年には、ベイルート郊外のタッル・ザアタル難民キャンプがレバノン右派勢力に半年間にわたり包囲封鎖され、集中砲火を浴び、2万人いた住民のうち4千人が殺されたという。

私たちは2001年9月11日ニューヨークを記憶するだろう。人間の歴史に刻まれた悲劇として。「私たち」の出来事として。しかし、1976年アッル・ザアタルの名を、1982年サブラー、シャティーラの名を記憶する者はほとんどいない。それはなぜなのか。それらの出来事は、パレスチナ人が記憶すべきパレスチナ人の出来事であっても、私たちが人間の歴史として私たちの記憶に刻む「私たち」の出来事とは、一般には思われていない。

※「テロと空爆 なぜ遠いパレスチナ人の死」岡 真理-京都大学助教授(現代アラブ文学)
 2001年10月29日付朝日新聞[私の視点]より抜粋

私自身の視点は、どこに位置づけられているのか。
「自己と他者」の認識は、この先ずっと考えてゆくべきテーマになりそうだ。

|
|

« なくして冷や汗 パスワード | トップページ | 穴埋め問題の穴の割合 »

Diary」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

コメント

最近、仮定法過去の勉強をしました。
あの9月11日に北朝鮮が日本の六本木ヒルズにミサイルを撃ち込み、ビル群が崩壊し、数千人の人が死んだとしたら、日本国の歴史ではなく、人間の歴史として記憶されるだろうか。
教育大学付属小学校に通う子供ではなく、孤児を収容している国の施設の子供が無差別に殺されたら、遺族が裁判に訴えて国が最終的に負けたわけでもないのに国が管理責任を認めて損害賠償額を遺族に払っただろうか。
悲しいことに力の強い人間が大切で力の弱い人間が大切にされないのがこの世の常なのだ。
夏休みだというのに親に愛されないで施設で遊ぶ子供を見てそう思う。

投稿: あーだこーだ | 2006/07/27 00:16

♪あーだこーだ さま
記憶がmanipulateされ得るものだという視点は重要だなあと思いました。

最近の事件を見聞きしていると、家庭にいれば子どもは幸せとは必ずしもいえないわけですし、家族以外の人間から愛情を注いでもらえるなら、もちろんそれも幸せですよね。平和な日本で暮らしていれば、子どもたちの幸せの可能性はまだまだ残されていると思うのは甘いのでしょうか。

投稿: miredo | 2006/07/27 22:36

記憶が操作されるというより、情報が操作されるという視点が大切だと思います。
また、子供が親を選ぶことができないように、市民が生まれた国を選ぶことができないという視点も重要だと思います。

投稿: あーだこーだ | 2006/07/28 10:55

情報が操作されているということはわかってたつもりですが、その結果として、自分自身の「記憶」が影響を受けているという認識はなかったので、岡真理の文章にドキリとさせられたのです。

昔々、国家論のレポートを書いたときは、生まれながらに帰属する国家は決まっているんだ…と納得してた覚えがあります。でも、長い歴史の流れを振り返ってみれば、過去に比べると現在は、人の移動が可能になった時代だと感じています。一国に縛り付けられるのではなく、自分の意思で国を選べるという側面があるのも事実だと思います。それゆえにアイデンティティの喪失という新たな問題が生じているようですが。
でも、こういう問題は日本にいると、感覚としてわからない部分が大きいですよね。民族と言語と国家のかかわりって、ホントにどう考えたらいいのか。。。難しいです。

投稿: miredo | 2006/07/29 00:37

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« なくして冷や汗 パスワード | トップページ | 穴埋め問題の穴の割合 »